公共経済分析Ⅰ-講義概要
時間:夏学期水曜1限
単位:2単位
[ 授業概要 (Course Overview) ]
高齢化に伴う社会保障費の増加、医師・診療科不足、ワーキング・プア等格差問題、少子化問題、国・地方の財政悪化、「霞ヶ関埋蔵金伝説」、消費税増税など財政に関わる問題は数多い。経済学をツールに、こうした現代的課題について考えていく。「財政の制度と現状を概観するとともに、政府の役割についての「そもそも論」(規範分析)、及び政府の「実態論」としての政治経済学について講義する。「市場の失敗」と合わせて、「政府の失敗」についても学んでいく。
[ 学部・学年の指定 (Who Should Attend) ]
※履修ルール上の指定内容については必ずルールブックおよびガイドブックの該当箇所を確認して下さい。
特に指定はない。
[ 授業の目的・到達目標と方法 (Goals & Methodology) ]
本講義では、市場経済における政府の役割に関する経済学的分析を学びながら、様々な政策の問題について論理的に考え、説明できるようになることを目標とする。
[ 授業の内容・計画 (Topics / Schedule) ]
講義では次のテーマを取り扱う
・日本の財政の現状と課題
・「市場の失敗」と「財政の機能」
・外部性:「コースの定理」、環境税・排出権取引等
・公共財の理論:「只乗り問題」、「地方公共財」等
・公共部門の効率化:「新しい公共」、費用対効果分析等
・公共選択論入門:多数決投票
・「政府の失敗」:レント・シーキング、利益誘導政治、財政赤字の政治経済学
・時間整合性問題:政府のコミットメント、「ソフトな予算制約」
・情報の経済学:非対称情報問題
[ テキスト・参考文献 (Textbooks / References) ]
毎回、講義ノートを配布する。参考文献として代表的な教科書をいくつか挙げておく。
・畑農鋭矢・林正義・吉田浩(2008)『財政学をつかむ』有斐閣。
・スティグリッツ(藪下史郎訳)『公共経済学〈上・下〉第2版』2003-4年, 東洋経済新報社
・佐藤主光(2010)『財政学』放送大学教育振興会
その他の参考資料については、講義の中で適宜紹介する。
[ 質問等の連絡先・オフィスアワー (Contact Information / Office Hours) ]
連絡先:<mail>satom@econ.hit-u.ac.jp</mail>
事前に連絡をしてアポをとること
[ 他の授業科目との関連・教育課程の中での位置付け (Relation with other Courses) ]
秋学期に開講される「公共経済分析II」と合わせて履修することが望ましい。
[ 成績評価の方法 (Requirements & Grading Allocation) ]
成績は、宿題40点満点、および期末試験60点満点とし、その総点(100点満点)の結果に基づいて評価する。平常点の詳細については、第1回目の講義で説明する。
[ 成績評価基準の内容 (Grading Criteria) ]
評価は相対評価による。平均点の70%未満は不可(F)とする。
[ 受講生に対するメッセージ (Message to Students) ]
問題意識をもって、講義に積極的に参加すること。