NO.03:中谷亮太さん(公共経済,2008年修了)
私は現在、日本銀行で景気判断の仕事をしています。 具体的には、企業を訪問して、最近の生産動向や収益動向、雇用情勢、資金繰りなど様々な面からヒアリングをして、現実の経済で今起こっていることについて情報を集めて分析します。 また、短観の審査と公表も行っています。 こうした日々の実務において、国際・公共政政策大学院で習得した経済の知識や発想力、コミュニケーション能力、情報分析能力などが活かされています。
先日、金融経済教育の仕事で高校に行って経済を教える機会がありましたが、大学院の授業の中でよくプレゼンテーションをしていたことで、相手に分かり易くかつ説得的に物事を伝える能力を自然と身に付けていたことに気付きました。 また、在学中に参加した医療経済のプロジェクトでは、米国を訪問して現地の政府の人などと医療制度について意見交換をする機会がありましたが、こうした大舞台で自分の意見をしっかりと持って相手に伝える経験を積んでいたことが、今の仕事で企業や行政の人と経済を活性化するためにどうすれば良いかを話し合う場面で応用されています。
このように、現場の政策担当者と接することができ、ディスカッションなどを通して思考力を鍛えながら、制度もしっかりと学び、今直面している問題を解決するにはどのような政策を実施すれば良いかについて、自らの頭で考えられるようになるところに、本大学院で学ぶ醍醐味があると思います。 私の働いている中央銀行では、今般は金融政策の手段がCPや社債の買い取りなど多様化してきています。 こうした政策は資源配分のあり方にも関わってくるということで、財政政策に近い領域になってきており、政策当局間の役割分担が問われるなど、公共政策としての責任が増しています。 実体経済と経済学の理論との橋渡しがうまくできるようなエコノミストになりたいと思います。