公共経済プログラムおよび公共政策プログラムについて
現在の日本は、巨額の財政赤字の累積、急速な少子高齢化と大幅な見直しが必要とされる公的年金・公的医療保険制度、といった構造的財政問題を抱え、長期的な経済停滞に陥っています。また、世界に目を向けるならば、貧困の中で人々の人権が保障されていない国々や、経済的権益をめぐる摩擦や対立あるいは環境破壊が人類の生存を脅かしている状況も見られます。
言うまでもなく、このような深刻な問題の解決・改善のためには、経済活動や政策の効果に関する深い理解と、人々を説得することができる力を備えた優秀な人材が必要とされます。しかし、残念ながら、これまでの日本の高等教育制度において、そのような人材の育成が十分行われていたとは言えないでしょう。
一橋大学政策大学院 公共経済プログラム(PEP)および 経済学研究科 公共政策プログラム(PPP)は、このような状況を少しでも改善することを目指して設立されました。その対象は、主として、国家公務員、地方公務員、政策系シンクタンク等の研究機関を志望する学生、および、世界銀行・IMF・アジア開発銀行などの国際機関でエコノミストとして働きたいという希望を持つ学生です。
これらのプログラムの最終目標は、修士課程の学生に、政策アナリストとしての技能を与え、公共政策に関する専門的見識を有する政策のプロを育てることです。特に、政策の数量的分析能力を身に付けさせると同時に、現役の官僚、国際エコノミスト、シンクタンク等の研究者との交流を通じて、現実の政策問題への関心を喚起していきたいと考えています。
2つのプログラムは下図のように、異なる組織に属していますが、そこで受け入れる学生はいずれも政策のプロを目指す学生たちであり、コンサルティング・プロジェクトの完成が必修要件とされています。
注)経済学研究科 公共政策プログラム(PPP)の学生には、標準コースで大学院修士課程1年次から参加する学生と、5年一貫コースで学部4年次からプログラムに参加する学生がおり、両者ともコンサルティング・プロジェクトの修了が必須となっています。一方、政策大学院 公共経済プログラム(PEP)の学生には、標準コースの2年課程の学生と社会人1年課程の学生がいます。こちらでは、2年課程の学生のみがコンサルティングプロジェクトに参加します。